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I Am Malala [Books]

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ようやく読み終えたI am Malala. 2014年ノーベル平和賞最年少受賞者Malala Yousafzaiの自叙伝。パキスタン北西部のMingora生まれの彼女が2012年10月9日、通学途中で武装軍団タリバンの凶弾に倒れたのは世界的ニュースとなりました。

学校経営を営む父親の影響により、幼い頃より教育の重要さを強調。これはイスラム教徒の女子は家庭にとどまること、という文化を覆すような意見もあり、実際パキスタン教育庁ではこの本を薦めていないのです。
11歳の時、父親の勧めで英国BBC放送のブログにペンネームで投稿。タリバンの破壊活動を批判しメディアより注目を受けます。

この本は彼女自身だけでなく、パキスタンの文化、政治等が詳しく書かれており、16歳の少女がこんなに詳細に分析しているのか、と驚く箇所は共著者のChristina Lambの叙述と思われます。

わずか18%の女性のみが10年以上の教育を受けているという国パキスタン。高等教育を受けている女子は30%未満、55歳以上の識字率は38%。この本の中でも飛行機内で数字やアルファベットが読めず、席を見つけられない乗客を目の当たりにする場面があります。

国連を初めとする世界各国の識者達が彼女を支援し、Angelina Jolieは$200,000をMalala基金に寄付するなどの動きをとっています。

教育とは国家情勢が整備され、平和である上に成り立つもの。諸外国の支援は文化や宗教を超えられるか? それは別問題。 元パキスタン初の女性首相Benazir Bhuttoが暗殺されてしまう国で活動していくということはまさに命がけの行動。将来この国が平和に、そして男女平等に教育が受けられるように彼女は訴え続けていくことでしょう。
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Girl with a pearl earring [Books]

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ブルーと黄色のターバンを巻き、振り返った姿勢で見つめる少女の耳には真珠のピアス。17世紀オランダの画家フェルメールの代表作品Girl with a pearl earring。

一体彼女は誰なのか? フェルメールの娘がモデルという説もあるけれど、1665年頃製作されたものについて人々が語ることができるのは想像ばかり。

彼女の名はGriet.16歳の彼女は貧しい実家を助けるために画家Vermeerの家にメイドとして雇われる。初めての仕事、他人の家での暮らし、そしてメイドという立場。日々の細かな心の動きが独り言をつぶやくかのように描かれた物語Tracy Chevalier著Girl with a pearl earring.

小説は架空の世界であるけれど、たった1枚の絵から繰り広げられる人間模様、17世紀のオランダ、日々の暮らし‐食べ物、手を荒らしながら毎日水汲み、洗濯、アイロンがけをするGrietの様子が鮮明に綴られていき、途中でページを閉じるのが惜しい程に夢中になって読んでしまいました。

Scarlett Johansson主演で映画にもなっているようですが、しばらくは読後の余韻を楽しみたいので時間を置きたいと思います。
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The Butterfly Mosque [Books]

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ボストン大学出身の著者Willow Wilsonが英語教師として訪れたエジプトの首都カイロ。アラブ文学を専攻していた彼女は予備知識はあったものの、初めて暮らす異国の地での驚きと発見、そして出会いが新鮮な文章で綴られています。

自己主張をしっかりとし、自由の国アメリカからイスラム教を発端とする性別差の慣習、文化の違い、閉鎖的な人々、日々の1つ1つの所作から異なる場所での生活の様子はとても興味深く、疑問を持ちながらも受け入れていく彼女の柔軟さはステレオタイプではない知識から生まれるもの。

将来の夫となる男性との出会いは彼女の世界を広げ、彼だけでなく彼を取り巻く家族、親類、従弟、その従弟達…と大家族の一員となっていく環境は個人社会のアメリカでは想像もつかなかったことでしょう。

愛は地球を救う、だなんて簡単に言えないけれど、愛は人を強くするのだな、との想いを深くしました。
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Motorcycle Diaries [Books]

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先日観たMotorcycle Diariesの原作。後にキューバ革命を担うChe Guevaraが友人Alberto Granadoと南米を旅した日記。
初めて訪れる地を細かく綴るその様子が映画の場面と重なり、2度楽しむこととなりました。

Cheというのはアルゼンチン人々の口語の癖。カナディアンが文章の終わりにeh というのと同じようなもの。
ペルーやチリを旅している時に「アナタはアルゼンチンから来たのね」と言われてしまう2人。「だってcheってよく言っているから」。

アルゼンチンの裕福な家庭に育った医学生Cheが見る他の国々、同じラテンアメリカでありながら貧困に喘ぐ人々、厳しい自然環境と闘う人々、民族習慣によっておこった病と闘う人々との出会いが表現豊かに書かれているのを読むと、一緒に旅をしているような気分になります。

途中父母への想いも込められ「心から愛している貴女の息子より」 と愛情たっぷりな手紙も含まれているのを読むと、彼が後年革命家になってしまった時の両親の心境はいかばかりだったことでしょう。

なかなか読み応えのある日記です。
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The Mirror of Yoga [Books]

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ヨガレッスンを続けていても、いつも出来ないポーズがあり、壁を乗り越えられないジレンマに気持ちよさよりもがっかりした気分になってしまうことが多かった今日この頃、以前読んだThe Mirror of Yogaを手にとってみると、心が少しずつ開かれてきました。

著者Richard Freemanは40年以上ヨガに携わり、禅やインド哲学も学んでいる人。その文章は単純なポーズとはかけ離れた深い知識の泉から湧き上がり、懇切丁寧に綴られていきます。 少々とっつきにくい文体なので、時間がある時に少しずつ噛締めるように読んでいくのも楽しみのひとつ。

カナダ住まいとなってから本を買うことはその大きさから殆どなく、図書館で借りる生活だけれど、久しぶりに書店で見つけたこの本、しかもセールで半額以下! に出会えたのも何かの縁。ゆっくり読み続けられることが何より心地よいのです。

Yogaとは融合の意。 心と体、陰と陽...とさまざまなものとのバランスとの調和。自意識のエゴから解放されていくこと。

体のバランスばかりに気をとられて、心のバランスを失いかけていました。インストラクター達は数年かけて、そして今も尚日々練習に励んでいるのだから、週に数時間の練習の自分と比べてはいけないのですね。

元気にレッスンに参加できる体に感謝。長い目で練習を続けていきましょう。
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The Book of Unknown Americans [Books]

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メキシコより国境を越え30時間のドライブ。ようやくたどり着いた自由の国アメリカでの仕事は1日中暗闇の中で働くマッシュルーム工場での作業。実直な夫Arturo,娘Maribelの様子が妻Almaを通して語られます。
Arturo一家同様にアメリカに移民してきたラテンアメリカ出身の隣人達。皆それぞれの過去を振りきり新転地アメリカでの暮らしに馴染もうと暮らしている人々の姿が淡々と描かれていきます。

18歳で結婚したAlma.19年目の結婚記念日はお金がないため近くのレストランで水だけを注文して家族で過ごします。まだ37歳で家族のことだけを心配し、家事をこなし、隣人のゴシップを聞かされて日々過ごすAlmaの人生。そこにはメキシコとアメリカの文化、教育の違いが浮き彫りに。

もし彼等のような正規移民の人々がコミュニティサービスをもっと利用できていたら。言葉の壁はあっても外に出て新しい国を知ることは日々の生活でとても重要なことだから。

不慮の事故により脳に障害を持ってしまったMaribel、失業してしまうArturo。毎晩夫婦でお茶を飲む時間もお湯だけとなり、食事も最低限のものに。厳しい現実の日々に切なくなってしまうほど。

このような知られざる人々が沢山暮らす国、アメリカ。自由とは? 権利とは?
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Happy City [Books]

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徒歩圏内で買物、クリーニング、レストラン、更にコミュニティセンターと生活に関わるものが全てまかなえるとしたら? 

東京に住んでいた頃は当たり前のように全てが徒歩または自転車圏内で済ますことができた生活からバンクーバー郊外に住み初めて数日後何とも言えない焦燥感に襲われたのを今でもはっきり覚えています。
その理由は「殆ど人とすれ違わない」というショック。約1300万人が暮らす東京とバンクーバー近郊全て合わせても250万人しかいない場所と比較するのも何ですが、車社会ということも大きな理由。

Charles Montgomery著 Happy City - transforming our lives through urban design
都市デザインを通じた暮らし方の変貌

アメリカンドリームと言えば、大きな家、1人1台の車、というような大きさを重視したもの。ところが実際はゲストが1度も訪れたことのないゲストルーム、4ベッドルームの家に孤独な1人暮らし。毎日片道2時間のドライブのハイウェイ通勤で疲労困憊。通勤時間が長ければ長いほど離婚率が上がるというデータもあるのです。

車社会の落とし穴でもある徒歩または公共交通手段の欠落も指摘されています。著者はコロンビアの首都ボゴダ、コペンハーゲン等を例に挙げ、車を排除し自転車で人々が行き来できる通りを紹介。更に近年ではパリでもレンタル自転車利用が始まった例も。

世界1住みやすい都市として上げられているバンクーバー、住居費はうなぎのぼりで実際に住むのはかなりの富裕層でないと難しい都市でもあるけれど、著者は中心より少し外れたCommercial Drive住まい。徒歩圏内で生活に関わる殆どがまかなえる場所なのです。

人々が幸せを感じる場所とは、安全で、騒音も少なく、夜も適度に明るく、公害もなく、緑が多く、公共スペースがある場所。

残念ながらアジアの都市は例に上がっていません。東京の通勤地獄やインド・ムンバイの道を歩くのも必死な混雑具合はhappy city には当てはまらないですね。

どこに、どのように住むかは人々の選択。その中には当然収入からまかなえるだけの費用であること。車がなければその分節約でき、4ベッドルームから1ベッドルームに引っ越せば更に余裕が出来ます。

幸福のあり方とは人によって違うけれど、住む都市もその大きな一部であるということ。

「狭いながらも楽しい我家」というフレーズがあるけれど、かなり的をついています。
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The Triple Package [Books]

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2011出版”Battle Hymn of the Tiger Mother" にて世界中に波紋を投げかけたAmy Chuaの最新作 "The Triple Package"は彼女と同じくYale大学法学部教授の夫Jed Rubenfeldとの共著。

彼等の分析によると、アメリカで成功している人々はユダヤ、インド、中国、イラン、レバノン系アメリカ人。
アフリカ系ではナイジェリア出身者、スペイン系ではキューバ出身者もその類に含まれる。また、アメリカ人の中ではモルモン教徒者が最も経済的成功者として数えられている。

225ページの本著のうち約80ページが注釈資料という本というよりも論文に近い内容。法学部教授による「アメリカにおける成功」という位置づけは高収入、高学歴、つまり数値による分析であり、更に移民もしくは2世、3世の人々の証言が多く記されている。それぞれの人種の説明もさることながら、ユダヤ、中国系の説明となると、私たちの出番とばかりに誇らしげに語られているような気がしてなりません。
中国人移民の説明の中に、第2次世界大戦中の日本軍による慰安婦の被害も含まれ、またユダヤ系移民の説明ではホロコースト生存者の子孫の証言もあり、彼等の言う「成功」には歴史的背景が大いに影響していることも語られています。

ややもすると人種差別的な感覚も得るけれど、一種の分析資料として読めば興味深い内容でもあります。
数値的に成功した人々の幸福度はどうか?

お金で全てのものを得ることはできないのです。
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THE AMERICAN WAY OF POVERTY [Books]

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豊かで自由を選択できる国、アメリカにおける貧困とは? 映画でもドラマでもない実態を詳細にレポートした
The American Way of Poverty。ページをめくるたびに辛い現実と日々闘う人々の事実が延々と綴られ、それは行き場のない暗闇の世界に迷い込んだような気分に。

‐新鮮な野菜や果物が体にいいってことはよくわかるけれど、食べるのはフードスタンプで配給される缶詰、パスタ等ばかり。医療費も払えず体調は悪くなる一方。
‐水道も電気もないので夜は早く眠る。とにかく動かないこと。トイレは道の向こうで袋を持って済ませる。シャワーは教会で
‐子供達が食事をした残りを少しだけ食べる。1日1食が基本
‐時給約900円の仕事で子供3人をどうやって育てていけるのか

著者はアメリカ各地を旅して生の声を取材。貧困に苦しむ人々と地域での体制も細かく分析している。それは移民だけでなく、北米社会の問題であるアルコール、ドラッグに犯されている両親の影響からやむなく貧困に陥ってしまった子供達や、不況による失業、ハリケーンや災害で家を失った人々等その原因も様々。

人間の欲望は果てしないもの。コーヒーはインスタントではなくXX産の豆でsoy milkを入れて…という人の隣にはコーヒーさえ飲めない人が暮らしている。

貧困は発展途上国だけの問題ではないのです。 衝撃的な事実をつきつけられた1冊。
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The Hungry Ear [Books]

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食にまつわる詩を集めたThe Hungry Ear. それは食卓へのオマージュから「玉ねぎへ」などと1つの食材を題にしているもの、夏のベリー摘み、バーベキュー等家族の笑顔が見えるような場面もあり、とても興味深く楽しみました。

Butter バター
母は私より、家族の誰よりもバターが大好き。
大きな塊をそのまま食べたり、クリームにしたり。

レモンとバター風味のターキー・カツレツや
グリーンパスタにバターとチーズ、
真ん中にたっぷりのとろけるバターをのせたヨークシャー・プディング
を食べて育った私たち

バターは白いライスを黄色く染め
バターはとうもろこしの粒の隙間を輝かせ
バターは白い砂糖を柔らかいクリームにし
バターはマッシュド・ポテトの中に潜み
バターはパンケーキの表面に溶け出し…  


空きっ腹の朝のスカイトレイン内で思わずAhhhとつぶやいてしまった詩。
パンケーキで思い出したのは子供の頃大好きだった「ちびくろサンボ」の絵本。
パンケーキにとろけるバター。トラがグルグル周ってバターになった楽しい話。

後年人種差別の意味があるとして絶版になってしまったこの本。そんなことは全く知らず
何枚も重ねたパンケーキの絵を見るたびに幸せな気分になっていました。

食べ物にまつわる思い出と言えば、昔々気になっていた男の子の発言。数人でサンドウィッチの話題をしている時に
「たまごサンドは欠かせないよね~」 と言ったら
「うっ、俺はたまごサンドは今ひとつだな~」と顔をしかめた彼。

彼の一言で「ああ、この人とはたまごサンドを持ってピクニックに行けないのね…」
と軽いショックを覚えたことがありましたっけ。

あなたの「食」の思い出は?
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